都市部での限られた敷地面積や高さ制限、コストのなかで、家族皆でくつろぐ場と、個人それぞれが自由にいられる場を、どのように確保しつつ、居心地の良い空間として構成できるかを模索した、3階建ての木造住宅です。より広い面積を確保するために設けた半地下のある1階に水回り、2階に個人の部屋、3階にリビング・ダイニング・キッチンを配置しており、それぞれに十分な採光を確保するため、中央にコアとなる階段空間を配置しています。
半地下を設け、スキップフロアの構成にすることで、厳しい高さ制限の中でも容積を確保しており、個室と共有部をフロアとしてエリア分けしつつも、気配は感じ取れるようゆるやかにつないでいます。 敷地の南側は商業施設の駐車場のため、建物がないことから、眺望が確保された明るいキッチンを設けることが出来ました。おおらかな地形の様な3階の部屋では、キッチンからリビングまでを自由に使いこなせます。お子様のピアノの設置を考慮した家具や、座ることもできるように奥行が確保された階段など、共用部でも多様な居場所のための工夫を設けています。
各階を縦断する階段室に開口部を設けることで、内部に均質な光を届ける構成となっています。その階段室を通じ、廊下や共用部が常時明るく保たれる室内環境は、都心部の狭小敷地では貴重であり、その敷地条件の強みを十二分に生かすための平面計画となっています。 また3階部分は屋根面への日射から、室内温度の上昇が想定されるため、断熱材の仕様や、空調機器の仕様についても細やかな検討を行っています。
時期 | 2022 |
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設計 | 前田茂樹 中野照正 |
構造設計 | tmsd 萬田隆構造設計事務所 |
施工 | 江中建設 |
所在地 | 東京都大田区 |
撮影 | 繁田諭 |