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OKINOSU INDOOR PARK

徳島県立東部防災館 おきのすインドアパーク
| Tokushima,Tokushima,Japan | 2023

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OKINOSU INDOOR PARK

徳島県立東部防災館 おきのすインドアパーク
| Tokushima,Tokushima,Japan | 2023

旧新聞印刷センターを現代に必要な用途として生まれ変わらせる

徳島市東部の埋立地、マリンピア沖洲に建つ徳島新聞社の旧新聞印刷センターが、機能移転に伴い2020年に徳島県に寄付されました。築25年ですが、新耐震基準にも適合していることから、県は、この印刷センターを災害時の「広域物資輸送拠点」とし、かつ平時の活用用途とそのための改修提案、そして持続可能な事業計画を含めたハード・ソフト一体型の設計競技を行いました。私たちは、徳島市内のインドアスポーツ施設が徳島駅前に移転し、屋上に設置されるフットサルコートが屋外になり雨の日の利用が難しいこと、子育て世代や中高生が雨の日に行く場所が少ないという意見に耳を傾け、子どもの可能性を伸ばすスポーツ&カルチャー&イベントスペース、カフェ、学童保育、防災がひとつの屋根のもと連携していく、おきのすインドアパークを提案し、設計者に選定頂きました。1階の中心には、天井高さが13mもある巨大な輪転印刷機室がありましたが、今回の改修工事で、自然光のあふれるインドアスポーツのメインコートとして生まれ変わらせました。印刷機の機能として自然光がご法度であった場所の天井を一部撤去し、鉄骨屋根によるハイサイドライトを新設しました。生まれ変わらせる今回の改修の象徴的な空間となりました。

平時と災害時をつなぐリバーシブルなデザイン

東部防災館おきのすインドアパークは、2023年9月のオープン以降、私たちの想定を超える多くの方々に利用され、主に子育て世代のにぎわいの場となっています。この施設は社会インフラであった新聞の印刷センターの痕跡が感じられると同時に、平時と災害時の両面で使われることを前提にしたリバーシブルなデザインで徹底しました。 例えば、カフェスペースは、かつて新聞が刷り上がったのちにトラックに積み込むための発送センターがあった場所に設けました。厨房はもと管理人室を転用しています。室内外の仕切りはシャッターがあった場所に、災害時にも入って来ることの出来るトラック車高に配慮したポリカーボネートの引き戸を新設し、平時は障子のように開閉することで、カフェのテーブルのある場所と屋外が、キャノピー下とつながった活用が可能としています。移動可能な運送用パレットで段差の解消を行うことや、防潮板を日常的に使うカウンターの下に仕込んでいるなど、平時と災害時をつなぐリバーシブルなデザインにより、利用している方々がふとした瞬間に、この施設が災害時には一時避難所としての備えがされており、広域的な物資輸送拠点になることが感じられることも重要と捉えています。ヴィジュアル・アイデンティティとサインデザインは、6Dの木住野氏に依頼しました。新聞の印刷センターの痕跡が残り、ざっくりとした大空間の魅力であり、その雰囲気に合わせて、単管パイプとターポリンを使ったサイン計画となっています。

指定管理の代表者として、柔軟な場を持続させる

前田が代表を務めるジオグラフィックデザインと、シンコースポーツ四国が共同事業体を結成して、2023年9月のオープン以降、指定管理会社として、おきのすインドアパークの運営を行っています。カフェはクレエールが徳島の食材を用いたメニューを提供し、四電ビジネスが日常の建物管理を実施し、3階のクリエイティブ・ラボで「徳島の子育てに伴走する会マチノワ」が子育て支援施設を運営してくれています。2024年春からは、カラーズが英語の学童保育サービスを3階で行い、小学校への送迎サービスも開始します。設計時のビジョンと運営方針が一続きとなり、日常で利用者・運営スタッフ皆の行動や意見を取り入れ、建築や家具に変更を加え続け、柔軟な状態を生み出しています。この柔軟性が、子どもの可能性を伸ばすスポーツ&カルチャー&イベントスペース、カフェ、学童保育、防災がひとつの屋根のもと連携していく、東部防災館おきのすインドアパークの価値と文化を形成していきます。

時期 2021
設計 ジオ- グラフィック・デザイン・ラボ(前田茂樹 中野照正 川端竜平)/ 泉設計室(JV)
構造設計 構造計画研究所(JV)
設備 島津設計
照明 ツキライティングオフィス
サイン・VI 6D-K
施工 建築:姫野組 / 美土利建設工業
電気: 四国電気工業
空調:四国工販
衛生:津乃峰設備/ 福富工業
指定管理者 ジオ- グラフィック・デザイン/シンコースポーツ四国(JV)
所在地 徳島県徳島市
撮影 新建築社/ PicnicWork
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